モロオカ部長
随分、昔の話になりますが、同じ営業課に「マサさん」という先輩がいた。
ホント、温厚で良い人なんですが、あまり仕事しないというか、マイペースというか.....。
どんな感じかというと、例えば、月末の勤怠管理表の提出日であっても未提出のまま帰宅してしまったり、外出した交通費の精算も半年分まとめてやったりと、まぁ兎に角、何事も自分のペースで仕事を進めるので営業課全体のミッションが全然進まず、当時の課長が、いつも怒鳴っていた。
そんな、ちょっとゴタゴタのある僕たち営業課に、また新しいミッションが下ろされた日のことだった。
当時の営業部長だった「モロオカさん」という方はとても温厚で、愚痴や悪口なんかも滅多に言わず、まして声を荒げるような方ではありませんでしたがボクの同僚である「ヤマガタくん」が突然、「モロオカさん」に
「もう、こんなにアレコレ出来ませんよ、僕らばっかり。マサなんか、全然、自分のノルマもやんないじゃん!もうやんない!マサみたいにもう何もやんないからな!」
と怒ったことがあった。
それを聞いたモロオカさんが、この時ばかりは、突然、机を「バーンッ!」と叩いたかと思うと、
「バカやろう!ヤマガタ!
もう何もやらないだと?
いいか、よく聞けよ。
何もやらないっていうのはなぁ、
難しいんだぞ!
お前には出来まい。」
というとヤマガタくんも
「そうかも知れません。」
とボソッと答えたのには思わず笑ってしまった。
それからマサさんは暫くして奥さんの実家の家業を継ぐという理由で退職した。
今、思うとあの頃は何だったんだろう。