コマイさん
私の会社に「コマイさん(仮名)」というおじさんがいます。
かくいう私も50を過ぎたおっさんなのでコマイさんのことをおじさん呼ばわりするのも失礼なんですが、私よりも年配で、その昔はなかなかの豪傑だったらしい。
一線を外れているコマイさんは、普段はなかなかの好々爺といった風体なのですが、ふとした時に昔の片鱗を見せてくれる瞬間がある。
先日も部署の酒席の場で、上司(仕事はできないけどゴマすり一本でのし上がったちょっと頭をハゲ散らかしている)が
「コマイさん、水割り作ってくれないか?」
と言われた時もコマイさんは躊躇すること無く
「薄め?薄め?薄めですよね?」
と連呼し、皆の笑いを誘っていた。
またある時は、事務所にあるFAX複合機の調子が悪く皆であれこれいじっている時に、件の上司が
「どうしたんだ?」
とやってきた時もコマイさんは冷静に
「いやホント、ポンコツなんでねぇ。ポンコツ。」と上司をジッと見つめてマジメに言うのである。
そんなコマイさんも、もうすぐ定年でいなくなってしまう。
仕事は抜群に出来て、お客様にずっと寄り添い、会社のことを本気で心配していて、お酒が入るとちょっとダメ人間だけど、そんなコマイさんがボクは大好きだな。
人は、評価じゃなく、評判で決める会社であって欲しい。